ビー・タイガー系
シュリンプの体色の仕組み
シュリンプ専門誌・アクアリウム雑誌・公開された学術論文・ウェブ情報を元に作成しています
ビー・タイガー系シュリンプの色素・発色機構を徹底解説
ビー・タイガー系シュリンプの体色や発色は、色素胞・色素・構造色など複数の要素が複雑に絡み合って決まります。ここでは、理論上の色素胞や発色の仕組みを一覧で整理し、シュリンプの改良や選別、観察の参考になる情報をまとめます。
注意事項
品種や個体差、色素胞の分布・量・密度などにより発色は異なります。以下の内容はあくまで目安としてご利用ください。
単色に対応する色素胞一覧
色素胞 | 視覚印象 | 色素 | 色素の由来 | 位置 | 発色方法 | 補足 |
---|---|---|---|---|---|---|
赤 | 赤 | アスタキサンチン | 外部取込 | 中間層 | 化学色素 | 単独で発色 |
黄 | 黄 | カロテノイド | 外部取込 | 中間層 | 化学色素 | 単独で発色 |
黒 | 黒/紺 | メラニン | 体内生成 | 下層 | 化学色素 | 他の色を吸収して発色 |
白 | 白 | - | - | 下層 | 構造色 | 光の乱反射で白く見える |
青 | くすんだ青 | クラスタシアニン | 外部取込/体内生成 | 中間層 | 化学色素/構造色 | 相互作用あり |
虹 | メタリック/銀/ラメ | - | - | 上層 | 構造色 | 鏡面反射 |
理論上の複合色(目安)
視覚印象 | 色素胞構成 | 発色方法構成 | 補足 |
---|---|---|---|
橙 | 赤 / 黄 | 化学色素 × 化学色素 | - |
鮮やかな緑 | 虹 / 黄 | 構造色 × 化学色素 | - |
鮮やかな紫 | 虹 / 赤 | 構造色 × 化学色素 | - |
くすんだ緑 | 青 / 黄 | 構造色 × 化学色素 | - |
くすんだ紫 | 青 / 赤 | 構造色 × 化学色素 | - |
パープルメタリック | 虹 / 赤 / 青 | 構造色 × 化学色素 | - |
ゴールド | 虹 / 赤 / 黄 / 白 | 構造色 × 化学色素 | - |
シュリンプの体色三層構造の概要
- 最表層(上層):構造色(メタリック、虹色、ラメなど)
- 中間層:赤・黄・青などの化学色素を発色
- 最下層(下層):白・黒などの発色、および補助効果
※層構造には個体差あり
補足解説
- 化学色素:色素自体が色を持つ(アスタキサンチン等)
- 構造色:物理的な構造により発色(反射・干渉)
- 虹色素胞:波長によって色が変わる鏡面反射
- 青色素胞(クラスタシアニン):タンパク質と色素の複合体による発色
参考文献・研究
- Latscha, T. (1989)「シュリンプの色素形成におけるアスタキサンチンの役割」
→ 餌由来のアスタキサンチンが主要要因 - Carreto & Carignan (2007)「太平洋白エビの色素形成」
→ 体内変換されたアスタキサンチンが発色 - O'Halloran, M.J. (1990)「シュリンプの色調コントロール」
→ 色素胞の収縮・分散に注目 - Burresi et al. (2023)「白色発色の分子構造」
→ イソキサントプテリン結晶による多重散乱 - Frontiers in Genetics (2022)「色彩遺伝の改良可能性」
→ 色と成長の同時選抜が可能 - Tran et al. (2022)「天然アスタキサンチンによる発色改善」
→ 廃棄物由来素材からの有効利用
まとめ・考察
ビー・タイガー系シュリンプの色彩は、単一の色素だけでなく、色素胞と構造色の組み合わせによるものです。遺伝や環境、餌の影響も大きく、観察・選別には理論の理解が不可欠です。今後の研究進展により、さらに多彩な品種開発や発色理論の明確化が期待されています。